こんにちは、ぶっくまです。
今回は、「失敗の科学」 マシュー・サイド著 ディスカヴァー・トゥエンティワン について解説します。
- 同じ失敗を繰り返してしまう人
- 失敗から学び、成長したい人
- 失敗から学ぶチームに育てたいリーダー
本のざっくり紹介
この本を一言でいうと
失敗と真摯に向き合うことは成長に繋がる
科学というだけあって、事例からの考察していく流れとなっています。
他の本よりも具体例が多いので時間のない方は読み飛ばす勇気も必要です。
また、本書の書き方として、章を読み始めないと結論がわからないため、理解しにくいと思ったら、先に結論部分を確認してから読むのをオススメします。
まず抑えておきたいこととして、失敗からの学ぶ人と学ばない人とは大きな差が生まれることです。
下記を読んでください。
1912年当時には、米陸軍パイロットの14人に8人が事故で命を落としていた(4)。2人に1人以上の 割合だ。米陸軍航空学校でも、創立当初の死亡率は約25%に及んでいた。
マシュー・サイド. 失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織 (Kindle の位置No.151-152). 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン. Kindle 版.
2013年には、3640万機の民間機が30億人の乗客を乗せて世界中の空を飛んだが、そのうち亡くなっ たのは210人のみだ。欧米で製造されたジェット機については、事故率はフライト100万回につき0・41 回( 5)。 単純換算すると約240万フライトに1回の割合となる。
マシュー・サイド. 失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織 (Kindle の位置No.155-157). 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン. Kindle 版.
アメリカ航空業界では失敗から学んだ結果、事故を大幅に減らしていることがわかりますね。
しかし、医療業界では状況が大きく異なる。1999年、米国医学研究所は「人は誰でも間違える」と題し た画期的な調査レポートを発表した(8)。その調査によれば、アメリカでは毎年4万4000~9万8000人が、回避 可能な医療過誤によって死亡しているという。
マシュー・サイド. 失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織 (Kindle の位置No.166-169). 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン. Kindle 版.
一方、アメリカの医療業界では失敗から学ぶ仕組みがなく、事故の発生が絶えません。
これは、失敗から学んでいるかいないかの違いによる結果です。本書の1章ではこの2つの業界でどのような差があるのかを事例をまじえて考察しています。
次に私が気づいたポイントを紹介します。
第1章 失敗のマネジメントで気づいた3つのポイント
失敗は真摯に向き合うことの重要性
しかし肝心なのはふたつの事故の類似点ではなく、相違点だ。最も大きな相違点は、失敗後の対応の違いに ある。医療業界には「言い逃れ」の文化が根付いている。ミスは「偶発的な事故」「不測の事態」と捉えられ、医師は「 最善を尽くしました」と一言 言っておしまいだ。しかし航空業界の対応は劇的に異なる。失敗と誠実に向き合い、そこから学ぶことこそが業界の文化なのだ。彼らは、失敗を「データの山」ととらえる。
マシュー・サイド. 失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織 (Kindle の位置No.429-432). 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン. Kindle 版.
失敗を真摯に受け止め、その後の対応で大きく明暗がわかれるのがわかります。
どちらも人の命がかかっているので二度と起こしてはいけないはずではあります。
この対応の差はなにか、私の考えた答えは
バレるかバレないか
航空業界は事故が起きた時は大きな間違いなくニュースにもなるため、絶対に隠し切れません。
しかし、医療業界は失敗を隠してその場を乗り切れてしまいます。
これは業界だけでなく職場でも同じ。
仕事が遅れたときや失敗したときに隠してしまうと後々傷口が大きくなり、最悪は取返しのつかないことになります。
これの対応策は「見える化の仕組み」
私の職場でもツールを使い、誰が何を担当して遅れているか遅れていないかを見える化しています。
これも失敗をしたときにすぐに気がつける仕組みです。
反証の余地は進歩の源
立証と反証には微妙な違いがある。科学の世界では立証することが重要だ。物事を観察して、理論を構築し、 裏付けとなる証拠をできる限り集めて立証する。しかしここまでにも見てきたように、科学には反証もまた欠かせない。 反証となりうるデータも検討しない限り、知識は進歩しない。「水は100 ℃で沸騰する」という仮説を例にとって見よ う。これは一見正しいが、ご存じのように高度が上がると話は違ってくる。こうして理論が当てはまらない条件を見つけれ ば、 新たな、より強力な仮説を構築する舞台が整う。なぜ海抜0メートルでは100℃で沸騰し、なぜ標高の高い場所ではその温度が下がるのか、どちらの理由も説明できる仮説を導き出すチャンスだ。科学の進歩はそうしてもたらされる。
マシュー・サイド. 失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織 (Kindle の位置No.735-741). 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン. Kindle 版.
航空機の機種、パイロット、各地の航空管制など条件はさまざまだ。航空事故はいわば反証に当たる。ちょうど科学理論の反証が進歩をもたらすように、航空事故もシステムの安全性を改善する上で非常に重要な役割を果たす。
マシュー・サイド. 失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織 (Kindle の位置No.746-748). 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン. Kindle 版.
科学は今までの常識を覆すことで進化してきました。これもある意味過去の失敗を活かしている事例です。
常識を覆すには反証の余地があるかどうかということがポイントだということです。
昔は「運動中には水を飲むな!」と言われていましたが、今はむしろ水分補給は重要ですよね。
そのほかにも科学は今までの常識を覆してきた歴史があるから進歩してきたと言います。
今までやってきたことだから「正しいこと」と盲目的にならずに、小さな失敗に気づき、変える姿勢は重要ですね。
失敗は共有と扱いやすさが重要
(浸透速度が遅い)原因は(中略)必ずしも怠惰や意志の欠如というわけではない。 それより問題なのは、 必要な知識や情報が、使用に適したシンプルで効果的な形に置き換えられていないことだ。航空業界でも、もし何ページ にもわたる要領を得ないデータを共有するとなれば、(中略)臨床医が医学雑誌で毎年ほぼ70万件も発表される論文と闘っ ている状態と変わらなくなるだろう。そんな形の情報は扱いにくい。しかし(中略)航空事故の調査レポートでは、情報 を( 精製して)現実的に要点をまとめてある( 18)。
マシュー・サイド. 失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織 (Kindle の位置No.921-926). 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン. Kindle 版.
要は
失敗を共有してみんなで使えるような仕組みが大事だよ。
ということです。
これがないと学ぶスピードも出ないし、判断を誤ります。
個人の活動では、失敗ノートのようなものをつけ、学びを記録。
チームや会社では共有と参照が大事なポイントです。
ナレッジデータベースともいいますが、失敗事例や起きたこと、プロジェクトでの反省点等を記録し、共有。いつでも検索できることが大事です。
よくあるのが記録はするけどそれ自体が忘れ去られることです。これでは意味がありません。
この対応策は取り出しやすい仕組みを作ること。そしてチームで徹底して使うことです。
最後に
- 失敗は真摯に向き合うことの重要性
- 反証の余地は進歩の源
- 失敗は共有と扱いやすさが重要
いかがでしたでしょうか。今回紹介したのは本書のほんの一部になります。
そのほか第2章~第6章+終章も読みごたえがあり、学びの多い内容となっています。
オススメの本なので手に取ってみてください。
今後もTwitterやブログを通じて読書や書籍に関する発信をしていく予定です。
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